犬で最も多いとされている心臓の病気が、この僧帽弁閉鎖不全症です。
病院での聴診や
高齢のわんちゃんが健康診断を行った時、偶発的所見として指摘されることのある疾患の一つです。
心臓の左心房に僧帽弁という弁があります。僧帽弁は、血液を一方通行に流すドアのような役割を担っています。
この弁が分厚くなったり(粘液水腫)、心臓内にある靭帯の断裂(腱策断裂)を起こすと
ドア(僧帽弁)の開閉に弊害が起き、逆流を起こします。
心臓はポンプのように血液を全身の組織へ流していますが、逆流を生じることで血液が送りづらくなり
心臓に血液が充満し貯留してしまう(うっ血)状態になり、以下のような症状が認められます。
咳 (心臓の拡大による気管の圧迫)
不整脈 (ふらつきや失神など)
(無症状の場合もあります。)
次第に、肺にも血液が貯留し始め(肺での浮腫)
呼吸が早い
寝れない
首を伸ばして呼吸している
このような症状が認められるようになります。
浮腫が進行し、行き場を失った血液が肺組織に漏れ出た結果、肺水腫となり、呼吸不全にまで至ってしまうことがあります。
呼吸不全(低酸素や高二酸化炭素血症を指す)はとても苦しい状態です。
また呼吸は生命を維持していくために重要な要素の1つなので
肺水腫に気づかず治療が追いつかない場合は、亡くなってしまう事もあります。
僧帽弁閉鎖不全症のグレード評価には、心臓エコーや胸部レントゲンが必須になります。
☑️逆流する血液の速度の測定
☑️心臓にかかる負荷を測定
上記を確認した上で、薬の種類や用量を決定します。
これは他院で心臓の薬を4種類ほど投薬していたという症例ですが、心疾患の程度を評価した上で投薬内容の見直しを行い、変更の1ヶ月後に心拡大の改善を確認することができました。
心臓の薬は、その子の現在の心臓の状態を正確に把握し、細かな調節が必要です。
そして私が診察治療にあたるとき意識していることが
動物の体に負担がなく、飼い主様の投薬ストレスもないようにしていくこと、
そして飼い主様自身が僧帽弁閉鎖不全症についての知識を持つことです。
完治する病気ではないからこそ、長期投与を考えていかなければなりません。
また病態について理解をしている事で、万が一の時の受診の判断力に繋がり、緊急で受診をした際にも状況の把握ができるようになるからです。
病態について、しっかり飼い主様に理解していただけるようにじっくり丁寧に説明させていただきます。
なんだか分からないけど、僧帽弁なんちゃらと指摘された⁉️
薬の量が適切なのかを知りたい‼️
心臓の病気があるか調べてほしい‼️
など、いつでもご相談ください👩🏻⚕️
南町田院 獣医師
日野
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