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前十字靱帯断裂に対するTPLO(脛骨高平部水平骨切り術)について

執筆者の写真: 武相動物病院グループ武相動物病院グループ

更新日:2024年4月19日

TPLO(Tibial Plateau Leveling Osteotomy)法とは

「脛骨高平部水平骨切り術」と呼ばれる、前十字靭帯断裂の際に選択される、膝関節の安定を目的とした手術です。前十字靱帯断裂についての詳しい説明はコチラ



上の図のように赤線で骨の切り、ズラすことで膝関節の安定化を図ります。


そもそも、

何故このような方法が膝への安定化をもたらすのかを解説します。

その為には大腿骨と脛骨の関係性について知っていただく必要があります。


下の図のように大腿骨と脛骨の関係性は

斜面(脛骨)の上に人(大腿骨)が立っているような関係性です。

前十字靱帯という支えがあることで斜面から転がり落ちないように安定化しています。




ここで支えとなる前十字靱帯が切れてしまうとどうなるか↓





このように人(大腿骨)は斜面から転がり落ちてしまいます。




それが実際のレントゲンで見るとこのような状態↓

正常なR(右足)に比べ、前十字靱帯の断裂を伴うL(左足)の脛骨から大腿骨が滑り落ちてるのが分かるかと思います。



そして今回の主題であるTPLOは脛骨を水平化し膝を安定化させる手術です。


どのようにするかを先ほどの図を用いると↓



このように脛骨を赤線のように削り回転させることで水平に近い角度へ調整し、大腿骨と脛骨の安定化を図ります。


実際の手術写真はこのようになります↓


TPLO法の合併症

可能性として考えられる合併症は

・感染症

・膝蓋靱帯炎

・脛骨粗面の骨折

・プレートの破綻

・スクリューのルーズニング(ゆるみが出ること)

・骨切部位の癒合遅延

・後十字靭帯の断裂

・半月板の損傷


などが挙げられます。

両足に前十字靭帯断裂が生じている際、同時に手術を行うと回復期間の延長に関与する可能性があるという報告があることから、片足ずつの手術(2ヶ月ほど空ける)を推奨しています。


ご相談やセカンドオピニオンにも対応しておりますので、当院までお越しください。

※当院は予約制となっております。事前にご連絡頂きますようにお願いいたします。

※医療関係者様からの手術の依頼、相談等も受け付けております。




武相動物病院 獣医師 中村雄海

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