心筋とは心臓にしかない特殊な筋肉のことです🫀
心筋症に関しては
心筋の重要な作用(収縮し、拡張するというポンプ機能)がなんらかの異常で維持できなくなってしまう病態で
☑️猫に最も多い 肥大型心筋症 や 拘束型心筋症
☑️犬に多い 拡張型心筋症
が動物では多く見受けられます。
これら心筋症は、人で難病指定されている病気でもあり
その原因は家族性や遺伝性、原因不明の病態(人口の0.2%)ですが
動物では稀な病気なわけでもなく
健康な動物の約15%(6頭に1頭)で
診断時の年齢は5.5歳と報告されています🐈
(猫の肥大型心筋症)
心疾患が怖いのは
症状がわからない(わかる時にはすでに病態として進行している)ところです😱
進行している場合
☑️呼吸が苦しい
☑️突然、血栓が臓器や組織に詰まる
☑️失神
☑️突然死
が起こり、上記病態を改善するにも入院必須の命懸けで、重症の場合は治療中に亡くなってしまうことも多々あります。
上記のような重症な合併症の存在があれば、病気に気付くことができますがますが
心筋症だけに罹ってる場合
特にわかりやすい症状はないので、うちの子は健康だと思い込んでしまうケースは多くありません‼️
肥大型心筋症
心筋が分厚くなり、硬くなってしまう進行性の病気です。
以下画像のように、心筋が肥厚することにより、斜線部にしか血液が充満できません。
拘束型心筋症
心筋が繊維化し、硬くなってしまう進行性の病気です。
赤斜線のスペースにしか血液が充満しないため
上記2つの心筋症は
全身に送り出される血液の量が減少する ⏩ 全身の血流障害(循環不全)
全身から戻ってきた血液が、肺や心臓の一部に貯留してしまう ⏩ 浮腫・うっ血
その結果、不整脈で突然死してしまったり、肺水腫での呼吸不全が起こってしまうような、怖い病気です。
人でも20歳〜40歳の発症が報告されている通り、猫ちゃんでも若齢〜中年齢で発症しています。
心疾患の場合、実際に見た目で分かる症状はなく、聴診でも異常を確認できないことが多いため、心臓エコー検査を行わない限りわかりません。
(猫では心拍数が1分間に200回と、人と比較し圧倒的に多いため、雑音が聴診できない)
以下の症例は、肥大型心筋症に罹患していること知らず
“突然、呼吸が苦しそう” との主訴で当院に来院されました。
来院時の状態として
【頻呼吸・意識レベル低下・血中酸素濃度低下】
であり、緊急対応した結果
“肥大型心筋症” に伴う肺水腫 と判断されました。
エコー検査では心筋が肥厚していることが確認されています。
さらに、この症例では血栓症も併発しており
☑️後ろ足の麻痺(引きずって歩く)
☑️激しい痛み(ニャーニャーと鳴く)
☑️後ろ足のパットが紫になり冷感を感じる
状態にまで陥っていました。
酸素室入院にて積極的に治療を行いましたが、この症例はすでに重症化していたため
治療が追いつかず、残念ながら第1病日で亡くなってしまいました。
この猫ちゃんの飼い主様は、心疾患に罹患していたことを知りませんでした。
拡張型心筋症
大型犬に多い心疾患です。
この心筋症は、心筋の機能低下により、心臓の収縮力が下がってしまう病態です。
心臓の押し出す力がなくなることで、心臓全体に血液が充満してしまいます(うっ血)
上記2つの心筋症と比較し、こちらは心筋が薄くペラペラですね。
この状態が進行し、心不全という状態に陥ると
上記2つの心筋症と同様、肺水腫になってしまったり、不整脈が起こってしまいます。
何度もお伝えしますが、ご紹介した3つの心筋症はすぐ気づくことのできるような症状はありません
心筋症は遺伝や進行性の病気であるため、過去一度の検査で特定できるわけでもありません。
当院では、循環器外来・呼吸器外来を行なっております。
また半年に一度の健康診断を推奨しており、毎回丁寧に検査結果の解釈についてご説明しております。
心疾患についてご心配な方は、いつでもお問合せください。
獣医師 日野
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