咳をしていて、動物病院へ行くと「気管虚脱」を指摘されたわんちゃんは、多くいらっしゃると思います。
みなさまは、気管虚脱についてどれくらい知っていますか❓
今回は、犬で最も多く遭遇する、気管虚脱についてご紹介したいと思います。
まず気管というものは軟骨でできており、いわゆる水を流すホースと同じような硬い構造物です。
この軟骨がなんらかの原因で潰れる(虚脱)と、気管に存在する咳受容体が反応して咳をしてしまいます。
気管虚脱は、発生部位によって原因や治療内容が異なります❤️🩹
まず気管虚脱が疑われる際は、どの部位の虚脱なのかを確認しましょう‼️

①頸部気管での虚脱(病名:動的頸部気管虚脱)
原因:上気道閉塞
上気道とは、いわゆる「鼻・のど」のことです。
鼻腔内疾患の症状⏩ スースーと鼻詰まりの音がする、くしゃみ、鼻汁
喉頭疾患の症状⏩ 興奮時にガーガーと音が鳴る、いびきがある、水を飲む際にむせるなど
このような症状が見られる動物は、上気道閉塞が潜在している可能性があります。
“気道が閉塞している” 状態は、いわゆる “空気が吸いづらい” 状態を指します。
これら動物の慢性的な吸気努力(頑張って空気を吸うことが多くなる状態)が続くと
喉頭下垂(喉の一部の骨が引っ張られて変形する状態)が認められます。
以下画像は右が正常な喉頭の構造です。
陰圧により黄色矢印方向に引っ張られ、喉頭の一部が伸びています。

喉頭下垂もよく遭遇する所見で、チワワ、シーズー、ポメラニアン、短頭種犬(フレンチブルドックやパグ)
に多い傾向があります。
治療:上気道閉塞の改善
例えば
軟口蓋過長が疑われた場合は、軟口蓋切除
肥満(咽頭気道閉塞症候群:脂肪により喉が圧迫されている)の場合は、減量
喉頭麻痺が疑われた場合は、手術
腫瘍が疑われた場合は、手術
など、上気道閉塞の原因も様々であるため、治療も異なります。
また、レントゲンにて上記のような虚脱所見がなくとも
<興奮時の咳>
が認められる場合は、気管支鏡(気道用カメラ)でのみ、気管軟骨の変化を確認することができる病態もあります。(膜性壁の伸長)
この病態を治す治療は残念ながらありませんが、咳が悪化した際の対処法として
☑️冷やす🧊(必須)
☑️喉の腫れを引かせる消炎剤
があり、ゼーゼーしている動物に対して、我々も1番初めに行なっております‼️
冷やすことは飼い主様でもすぐに実践していただける方法でもありますので、ぜひ実践してあげてください😊
獣医師 日野
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