咳や呼吸障害の原因となる気管虚脱ですが、責任病変の場所により原因と治療が異なります。
②胸郭前口部での虚脱(病名:原発性気管虚脱)
原因:気管軟骨の扁平化(潰れている) / 急性発症の場合は感染性疾患
吸気(吸った時)と呼気(吐いた時)のレントゲン撮影を行い、どちらも気管軟骨が扁平化している(潰れている)場合は、原発性気管虚脱が疑われます。
確定診断とグレード評価には麻酔下での気管支鏡検査が必要なため、レントゲンのみでの評価は困難です。
さらに、レントゲンにて明らかな気管軟骨の扁平化が確認されなくても、気管虚脱ではないと指摘できるわけではないんです…
呼吸器って難しいですね😓
咳の既往歴がなく、急性発症の場合は感染(いわゆる風邪)の可能性も考えられるため
いつから(以前から/急に)
どのような咳(乾いた咳/湿った咳)
という症状の把握が大切です‼️
確定診断が難しい呼吸器だからこそ、原因の特定には必要な確認事項となります⚠️
治療:グレードによっては手術 / 抗菌薬やネブライザー(噴霧治療)
軟骨には血液が通っていないので、薬での治療はできません❤️🩹
生活に支障をきたすような症状がある場合は、気管支鏡などの精査を行ったのちに外科的治療を行います。
また急性発症の場合は抗菌薬やネブライザー治療による治療を行い、改善があれば感染性疾患であったということになります🦠
特に多い治療として、気管支拡張薬を使用しているケースがあります。
気管支拡張薬は、あくまで気管支(気管の末梢)を広げてくれるお薬なので、胸郭前口部(気管の中枢)には効果は期待できません。
また気管虚脱の症状は咳だけでなく
呼吸と同じタイミングでゼーゼー、ガーガーと音が鳴る(ストライダーといいます)症状が認められることもあり
ストライダーのみ発現する場合もあります。
また、安静時、運動時、興奮時など、発現するタイミングも動物によって様々です。
何かおかしいと感じた場合はまず、動画を撮影しましょう‼️
その場で判断できなくても、獣医さんと相談することで何かわかることがあるかもしれません🤔
獣医師 日野
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