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執筆者の写真武相動物病院グループ

猫の耳にできるできもの(腫瘍)





耳介とは、動物の耳のうち外に張り出て飛び出している部分のことで、外から見える部分なので、腫瘤ができた場合に気付きやすい場所でもあります。



今回は猫ちゃんの耳介にできやすい腫瘍の種類についてランキング形式でお話しさせて頂きたいと思います。




第1位:肥満細胞腫 (約40%)

免疫細胞の一種である肥満細胞という細胞が腫瘍化したものです。

皮膚にできる肥満細胞腫(皮膚型)と、内臓にできる肥満細胞腫(内臓型)の2つがあります。皮膚型の場合は頭や首にできることが多いです。

良性の動きをするものが多いですが、稀に悪性の動きを示すものもあります。


第2位:扁平上皮癌 (約35%)

体を構成する組織のうち、扁平上皮と呼ばれる、体の表面や消化管などの内側の粘膜組織から発生する腫瘍です。

皮膚の扁平上皮癌は、頭部での発生が多く、特に耳介の先端が多いです。白い猫では紫外線が要因となり発生することが分かっています。皮膚の扁平上皮癌の場合、外科療法が有用で、完全切除が達成できれば経過は良好です。


第3位:耳垢腺癌 (5%)

耳垢腺とは外耳道の粘膜に存在する分泌腺の一種です。猫では慢性的な外耳炎が耳垢腺癌の発生要因となり得ます。転移率は低いですが、腫瘍の拡がる力が強いため、広範囲の切除が必要となります。


第4位:線維肉腫 (4%)

皮膚の成分を作る線維芽細胞という細胞が腫瘍化したものです。転移はしづらいですが、腫瘍の拡がる力が強く、広範囲の切除が必要です。





☆それでは、実際にお家の猫ちゃんの耳にできものがあった場合に、どのように診断・治療していくかを解説していきます。



まずはじめに、病院に連れてきていただいた際に、「できものがいつ頃からあったか」や「見た目の変化」、「本人が気にしているか、体調は変わりないか」などを聞かせて頂きます。



そして、見た目や触診によって必要があると判断すれば、針生検による細胞診を行います。

針生検によって腫瘍の種類が判断できる場合もございますが、肥満細胞腫以外の場合には判断が難しいことがほとんどです。


(1)針生検によって腫瘍の判別ができた場合には、腫瘍の種類ごとに、外科による切除や抗癌剤治療、経過観察などの治療方針を飼い主様と相談しながら決めていきます。

(2)針生検によって腫瘍の判別ができなかった場合は、できものの大きさや見た目によりますが、部分的に切除するか全切除をして、病理組織検査を実施します。その結果により、再度外科切除をするか、 抗癌剤治療をするか、治療終了となります。







✴︎当院にて実際に針生検から外科切除を行った症例です✴︎



耳介内側のできものが気になるとのことでご来院されました。できものの大きさは約

7mmでした。2年前からありサイズは変わっていないとのことでしたが、飼い主様と相談し、今回針生検を行うことになりました。

針生検による細胞診により、肥満細胞腫を疑う結果となりました。


切除が可能な肥満細胞腫については、外科手術が最も重要な治療法となるため、耳介の一部切除を実施することになりました。




こちらが外科切除を行った後の写真です。

腫瘍の周りを少し間を空けて耳介の一部を切除しました。

反対側と比べて耳が小ぶりになってしまいましたが、経過は良好です。

切除した組織を病理診断に提出し、肥満細胞腫という回答でした。


今回は悪性度が低いという回答だったため、治療はここで終了になりましたが、場合によっては抗癌剤治療等に移る時もあります。



今回は猫の耳にできるできものについて解説させて頂きました。

少しでも気になることがありましたら、お近くの病院に相談してみて下さい。


ご相談やセカンドオピニオンにも対応しておりますので、ご希望がありましたらお気軽に当院までお越しください。

※当院は予約制となっております。事前にご連絡頂きますようにお願いいたします。

※医療関係者様からの手術の依頼、相談等も受け付けております。



武相動物病院 獣医師 岡田 燈


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