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執筆者の写真武相動物病院グループ

膝蓋骨(パテラ)脱臼整復手術について

更新日:5月15日


今回は膝蓋骨脱臼の手術方法について詳しくお話しします。

※病気の概要はコチラ


手術方法はいくつかありますが、

骨や軟部組織を含めると下記のような何種類もの術式の組み合わせで行います。


軟部組織

・内側(外側)支帯切離

・関節包縫縮術

・関節外方(LSS)

・周囲牽引筋の離断


①滑車溝形成術

②脛骨粗面転移術

③大腿骨矯正骨切り術


これら必ずしも全てを行うわけではなく、

その個体や手術時の所見含め適切な組み合わせを選択しています。


今回は骨に対して行う術式の組み合わせを順に紹介して行きます⬇︎



①滑車溝形成術

写真を見ていただくと、本来膝蓋骨(青丸)が収まる場所が真っ平らで溝が形成されていません。これでは収まるものも収まりません。(ニュアンスとしては平らだから外れたのではなく、外れた結果として溝ができていないのですが)


このように滑車溝を形成する事で、膝蓋骨がしっかりと収まるようにしています。(滑車溝形成術


②脛骨粗面転移術


膝蓋骨は膝蓋“靱帯”に付随するもので、この靱帯は大腿骨と脛骨を繋いでいます。

何が問題になっているかというと、多くの場合脛骨(スネの骨)が内側に内旋することによって、靱帯が内側に引っ張られているのです。


本来青線のように、大腿骨の滑車溝に対して真っ直ぐ下に脛骨の粗面(靱帯の付着部)がきて欲しいところ、かなりズレているのがお分かりになるかと思います。これを真っ直ぐに戻す手段として脛骨粗面を転移する方法がとられます。靱帯は切ってしまうと修復ができないので、靭帯が付着している骨の方を削ってズラす方法が取られるのです。


こちらの動画が非常にわかりやすいのでご参照下さい⬇︎


①と②の術後レントゲン写真↓


①と②のイメージ動画




③大腿骨矯正骨切り術

大腿骨に極度の変形があり、その他の術式を併用しても整復が困難である場合こちらの術式を行う場合があります。主に幼少期から、グレード4のまま成長したり、膝の屈曲ができない状況であれば必要となってきます。


ここまでしないといけない子は非常に稀ではありますが、ご紹介しておきます。


膝蓋骨脱臼の整復手術では今紹介した方法など骨を削る方法が取られます。

これらの骨が癒合するまでの間、6から8週間は自宅での安静が必要です。


ただ、いくら写真を見ても、いざ手術!となると不安は尽きないと思いますし、脱臼の進行程度や年齢により手術内容は変わります。もちろん手術はせずに経過を見られる場合もあります。

まずは一度診察させていただいた上、おうちの子にあった治療計画を詳しくご相談させて下さい。



※当院は予約制となっております。事前にご連絡頂きますようにお願いいたします。

※医療関係者様からの手術の依頼、相談等も受け付けております。


武相動物病院 獣医師 中村雄海

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