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  • 執筆者の写真武相動物病院グループ

ひも状異物の誤食(開腹術)について

更新日:2023年8月15日

猫は一般的に犬よりも異物の誤飲は少ないですが、猫で多くみられ、危険性の高い誤飲の原因として、ひも状異物があります。

ひも状異物の具体的な例として


・ 玩具についているひも

・靴ひも

・袋のひも

・糸


などが挙げられます。



ひも状の異物を誤飲した猫では、口の中または肛門に糸やひもが出ていることが見られる場合がありますが、引っ張らずに、すぐに動物病院を受診しましょう。これは、ひも状異物が消化管に引っかかったり、消化管に埋まったりしていると、ひもを引っ張ることで、消化管穿孔(せんこう:穴が開く)が起こり、状態が急激に悪化する可能性があり、非常に危険性が高いためです。


症状:

ひも状異物を誤飲したときの症状は、以下のようなものが多いです。


・食欲不振

・嘔吐

・何か吐きたそうな咳

・元気がない ぐったりしている など



診断:

口の中をのどや舌の付け根まで目視で確認

血液検査 X線検査(造影検査を含む) 超音波検査 内視鏡検査 試験開腹



誤飲が明確な場合は、時間の経過や猫の状態にもよりますが、催吐処置、内視鏡などによりひも状異物を取り出す、あるいは必要であれば開腹手術を行うことになります。ひも状異物を誤飲したことが分かっていなければ、消化管内異物も含め、さまざまな疾患の可能性を調べる必要があります。さらに、消化管の状態や全身の状態を把握するためにも、全身的な検査(場合によっては日を改めて再検査)を行います。


消化管内に異物がある場合、金属はX線検査に写ることが多いですが、ひもやゴム、布などX線には写らない物質があります。超音波検査でも、糸やひもなどははっきりと判断することが非常に難しいです。ただ、確定診断にはなりませんが、腸にひも状異物が流れている場合、特徴的な像(アコーディオンサイン)を示すこともあります。



実際の症例①

1歳MIX猫・慢性の嘔吐を繰り返し当院受診 エコーにて閉塞所見とアコーディオンサインあり


エコーの所見通りに、アコーディオン🪗のように腸が引き寄せられているのが分かるかと思います。


誤食したものは


裁縫の際に使う指にはめるゴム製品&糸がついている状態でした。


実際の症例②

2歳フレンチブルドッグ 散歩の時に草むらで何か食べていた。その後一歳食事を受け入れず嘔吐を繰り返す。



自転車のカゴから物が落ちないようにするネットを丸呑みしていたようです。


胃〜腸が閉塞を起こしていたりする場合は、ひも状異物が自然に排泄されるということはなく、緊急的な開腹手術によるひも状異物の摘出が必要になります。消化管に穴が開いたり、広範囲が壊死(えし)したりしていて、腹膜炎や敗血症に陥っている場合は、手術を行ってもその後に長期間治療と向き合うことも多いです。


ひもの誤食は要注意!!!

これだけでも覚えて帰ってください。


ご相談やセカンドオピニオンにも対応しておりますので、当院までお越しください。

※当院は予約制となっております。事前にご連絡頂きますようにお願いいたします。

※医療関係者様からの手術の依頼、相談等も受け付けております。



武相動物病院 獣医師 岩屋大志郎


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