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  • 執筆者の写真武相動物病院グループ

犬の橈尺骨骨折整復術について

更新日:4月19日

犬の骨折で遭遇するものの中では一番多い骨折です。

猫の橈尺骨骨折はこちらの記事をご参照下さい🦴


橈尺骨(橈骨と尺骨)は腕を構成する骨です。



好発犬種:

◻︎6kg未満が全体の90%

◻︎2歳未満(特に6−11ヶ月齢)

◻︎特定犬種(経験の多い順にトイ・プードル>ポメラニアン>ヨーキー>イタリアン・グレーハウンド)


骨折の原因:


◆外的要因

◻︎ジャンプ後の着地失敗

◻︎抱っこからの転落

◻︎ころんだ・転落した・踏んだ

◻︎交通事故


◆内的要因

◻︎成長期は骨が柔らかい

◻︎橈骨先端の血流量が少ない(トイ犬種)



治療方針:


◆外固定法

ギプスや副子を用いた固定法です。

※外科の介入を行わずに整復が可能な条件を全て満たした場合に提案します。


※◻︎1歳未満 ◻︎骨の接合部が50%以上 ◻︎尺骨が折れていない ◻︎頻繁な来院が可能




◆外科手術(内固定法)

金属製のインプラントを骨に合わせて固定する方法です。

最も一般的に行われる治療であり良好な整復が期待できます。また、術後には一時的に外固定も併用します。



実際の症例:

1歳半のトイ・プードル

踏んでしまったことで足を挙上



レントゲンでは橈骨の骨折・それに伴う手根関節の脱臼が疑われました。



骨折面を合わせ整復を行なっていきます。



骨の固定には金属のインプランと用いています。

術後の経過を追いながら不要なインプラントは将来的には摘出します。


手術直後のレントゲン写真です。

術後は副子による外固定も併用しています。




◉合併症について


◆外固定の場合

□皮膚炎:外固定に用いた装具や包帯と皮膚の接触部位にて皮膚炎、それに伴う感染の可能性があります。


□骨の癒合不全:手術での整復を行なっていないので、完全に本来の整形学的に正しい整復は望めません。また骨の癒合が遅延することがあります。


□機能不全:骨折が治癒した後も激しい運動に際して挙上など、本来の機能が100%戻らないことがあります。



◆外科手術の場合


□再骨折・プレート破綻:骨が再生の過程で激しい運動や衝撃により、再度骨折が起こることがあります。またそれに伴う金属プレートの破綻の可能性があります。その場合再手術を提案させてもらいます。


□骨吸収・血行障害:本来身体にあるはずのないインプラント(金属のプレートやスクリュー)を入れることで少なからず骨吸収・血行障害が起こります。骨の再生の経過を追い不要になったインプラントは段階的に抜去していきます。



□癒合不全(骨・皮膚):解剖学的に整復は行いますが、骨の再生が進まないことや皮膚の治りが遅延する可能性があります。適宜、薬の追加・安静期間の延長や外固定の併用など行なっていきます。


□感染:無菌的手術を行っておりますので感染することは限りなくすくないですが、術後に傷が癒合

 するまでに患部を舐めたり、汚染が起こると感染が起きたり、傷が開いたり感染することがあります。



現在は良好な経過をたどっております。


ご相談やセカンドオピニオンにも対応しておりますので、当院までお越しください。

※当院は予約制となっております。事前にご連絡頂きますようにお願いいたします。

※医療関係者様からの手術の依頼、相談等も受け付けております。




武相動物病院 獣医師 中村雄海

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