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  • 執筆者の写真武相動物病院グループ

精巣腫瘍について

更新日:2023年8月15日

犬の精巣腫瘍の種類:

精巣腫瘍は、セルトリ細胞腫、ライディッヒ細胞腫、セミノーマ(精上皮腫)の3つに大きく分けられます。

このうちセルトリ細胞腫とセミノーマは、停留睾丸と呼ばれる精巣が鼠径部や腹腔内にとどまっているケースで発生しやすくなっています。


潜在精巣とは、成長の過程で精巣が本来の位置に移動できず停留してしまっている状態のことです。

(停留睾丸、腹腔内陰睾(丸)などの言い方もありますが全て同じ状態を指してます。)


本来の位置とは違う腹部から精巣を摘出しているところです⬇︎


腫瘍の特徴:


◎セルトリ細胞腫の特徴

セルトリ細胞は、精細胞を支持している細胞です。それが腫瘍化したものがセルトリ細胞腫で、片側に発生するケースが一般的といえます。女性ホルモンであるエストロゲンの過剰分泌の原因となりやすく、もう片方の精巣は萎縮する傾向にあります。少ないながらも転移の可能性がある厄介な精巣腫瘍です。


◎ライディッヒ細胞腫

ライディッヒ細胞は、男性ホルモンであるテストステロンを分泌する細胞です。

それが腫瘍化したものがライディッヒ細胞腫であり、間質細胞腫とも呼ばれています。

転移するリスクは低く、臨床上あまり問題とならないことが多い精巣腫瘍です。


◎セミノーマ

精巣上皮が腫瘍化したものをセミノーマと呼び、停留睾丸の犬で発生リスクが高くなっています。

組織学的には悪性に分類されますが、転移するリスクは高くなく、切除手術を行った場合の予後も比較的良好なことが多いです。セルトリ細胞腫とライディッヒ細胞腫を併発することもあります。




症状:

犬の精巣腫瘍では、脱毛や乳房の雌性化、皮膚の色素沈着、骨髄の造血機能の抑制といった症状が認められます。

これらは主に女性ホルモンであるエストロゲンの過剰分泌が原因となっています。

骨髄抑制に関しては、血球の減少や重度の貧血などを引き起こすことから、命に関わるような事態に発展するケースもあり得ます。また、犬の精巣腫瘍はリンパ節を経由して、肝臓や腎臓、肺などに転移するリスクがある点にも注意しなければなりません。


原因と検査方法:

犬の精巣腫瘍の根本的な原因は解明されていません

現状は、高齢犬や停留睾丸の犬ほどリスクが高くなることがわかっています。

そんな精巣腫瘍は、次に方法で検査を行った上で診断を下します。

・触診・血液検査・レントゲン検査・超音波検査


これに加えて、精巣の摘出術を実施した場合は「病理組織検査」を行います。摘出した組織の一部を顕微鏡で精密に調べることで、腫瘍の悪性度や種類などがわかります。


治療法:

犬の精巣腫瘍の治療法は、外科処置による精巣摘出が基本です。

ワンちゃんの全身状態が悪くなければ予後も良いのですが、重度の貧血を伴っている場合は外科手術を行えない場合もあります。また、多臓器への転移が認められるケースでは、化学療法や放射線療法で対応することになります。


予防法:

犬の精巣腫瘍は、去勢手術を受けることで予防できます。停留睾丸が認められるケースでは、早期に摘出するのが望ましいです。また、そうした処置を行わなかったとしても、定期的に健康診断を受けることで精巣腫瘍を早期に発見することが可能となります。


ご相談やセカンドオピニオンにも対応しておりますので、当院までお越しください。

※当院は予約制となっております。事前にご連絡頂きますようにお願いいたします。

※医療関係者様からの手術の依頼、相談等も受け付けております。



武相動物病院 獣医師 岩屋大志郎

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